シックハウス対策で快適住空間へ快適・健康・安心珪藻ストーンって何?・・・

シック校舎の恐怖

木のぬくもりが満ちた学校に、我が子を通わせたいと思う親は多いだろう。だが、心を癒やすはずの校舎でシックハウス症候群にかかるとしたら。国も推奨する"木造"校舎のブームに乗り、予期せぬ「シックスクール」の悲劇を呼びこんだ学校が、東京都調布市にある。

■先端設計

クリックすると大きな画像が見られます。皮膚科医の笹川征雄さん(59)が副理事長を務める大阪のNPO「シックハウスを考える会」に、調布市教育委員会から電話がかかったのは、昨年10月下旬のことだった。
 完成したばかりの同市立調和小学校(児重298人)の新校舎でシックハウス症候群が発生した疑いがあり、調査を委託したいという。「行政がNPOを頼るとは。迫い詰められたんやな」。すぐに検診のため調和小を訪ねた。そして驚いた。
 円筒形のラウンジから翼を広げるように延びるフローリングの廊下、複雑な配置で並ぶ部屋。従来の校舎のヂザインとまるで違う。冷暖房も完備。なのに、初秋の寒さが身にしみた。化学物質対策で窓を開け放しているのだ。診察を待つ上半身裸の子供たち。

■誤算

予兆はあった。昨年8月28日、校舎を建てた大手ゼネコンが市教委に出した報告書は、約10日前の空気測定で有害なトルエンの濃度が国の指針値の最大約15倍に達し、ホルムアルデヒドも二か所で指針値を超えたとしていた。
 それでも5日後に予定通り授業を始めた。昨春、指針値オーバーの校舎の使用を禁じる国の新基準ができたが、調和小の工事契約は一昨年春で対象外。ゼネコン側は「(指針値を守る)義務はなかった」と主張する。市教委も「最も化学物質放散量が少ない建材を使った。授業開始までに換気すれば大丈夫」と考えた。
 教室では冷房のため窓を閉めた。ある姉妹が目を真っ赤にして帰宅し、鼻血を大量に出したのは9月半ば。母親(43)は「水泳の授業のせいかな」と思った。頭痛や疲労感を訴える児童も出たが、病院は「通常のアレルギー」「原因不明」などと診断した。
 報告書が初めて公表されたのは、10月11日の保護者説明会。騒ぎは大きくなり、姉妹を含む10人が転校したり不登校児施設に避難したりした。笹川さんの検診結果は、「全児童の2割が化学物質の影響を受けた可能性が高い」。同市は今年2月、教育部長ら5人を減給などの処分にした。

■落とし穴

「考える会」の白瀬哲夫さん(52)は3月末、建材メーカー杜員の立場から調査結果をまとめた。フローリングの教室が特に高濃度で、接着剤を多用する合板がホルムアルデヒドとトルエンを含んでいた。「合板の内装」と「冷暖房効率の良い高気密の鉄筋コンクリート造」。化学物質が室内にこもる組み合わせに、落とし穴があった。
 高度経済成長期、一直線の廊下沿いに教室を並べた「片廊下横一文字方式」の、没個性のビニール床校舎が量産された。その反省から、旧文部省は1986年、木を活用した校舎に建築費助成を始め、今では新・改築校舎90%形以上が助成を受ける。しかし純粋な木造は6%で、大半は床や壁に合板などを張るだけ。最近シックスクールと断定された塩尻西小(長野県塩尻市)や湊保育園(大阪府堺市)なども同じ構造だ。
しかも調和小では、デザイン優先の大きな窓が転落防止のため幅15cmしか開かなかった。配置も偏り、風通しが悪い。
白瀬さんは言う。「昔の校舎は殺風景でも風は通った。木のぬくもりは大切だが、天然木を使うなど本当の意昧で自然志向にしないとだめなのです」
 健康被害は一か月で収まったが、転校・避難児童のうち5人は他校で新学年を迎えた。夏が近づき、日差しで再び化学物質が放散する懸念が消えないからだ。
先月29日、調和小では窓を全開できるよう改良した。ただ建材の化学物質が完全に消えるまでには時間がかかる。それがいつなのか、誰にもわからない。
 東京では先月、江東区立元加賀小と墨田区立八広小でもシックハウス症候群の疑いが発覚し、元加賀小は、全校児童を別の校舎へ避難させることを決めた。

 シックスクールの恐怖は、広がる。 読売新聞(抜粋) 平成15年5月3日

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