ホルムアルデヒドは、住宅においてしばしば発生する化学物質の一つです。
無色で刺激臭を有し、常温では気体です。水に良く溶け、約30%の水溶液は通常ホルマリンと称しています。ホルムアルデヒドは、殺菌作用があり、従来より温室や土壌の燻蒸剤等に利用されるほか、標本保存剤、消毒剤、防腐剤として用いられています。
居住環境におけるホルムアルデヒドの発生源(表2)としては、建材、家具、家庭用品、喫煙及び暖房器具の使用等が考えられます。特に、合板・パーティクルボードの接着には尿素-ホルムアルデヒド系接着剤が多用されています。また、ホルムアルデヒドは壁紙用接着剤の防腐剤としても利用されています。ホルムアルデヒドの人に対する影響は、主に目、鼻、及び喉に対する刺激作用で、具体的には、不快感、流涙、くしゃみ、咳、吐き気、呼吸困難等の症状が表れます。また、動物(ラット)で発がん性が認められています。
厚生労働省は、室内のホルムアルデヒド濃度の指針値として、0.1mg/m3 (0.08ppm)を設定しています。
揮発性有機化合物(VOC: Volatile Organic Compounds)とは、常温で蒸発(気化)する有機化合物の総称です。WHOでは、(表1)のように有機化合物の沸点を基にしてVOCを定義・分類しています。全揮発性有機化合物(TVOC: Total VOC)は個々のVOCの総和です。
分類 | 略記 | 沸点範囲(℃) |
超揮発性有機化合物 | VVOC | 0 〜 50-100 |
揮発性有機化合物 | VOC | 50-100 〜 240-260 |
半揮発性有機化合物 | SVOC | 240-260 〜 380-400 |
粒子状物質 | POM | 380以上 |
VOCの発生源としては、合板、壁紙などの建材や施工時の接着剤、カーテンやカーペットなどの家具調度品、開放型の暖房器具、殺虫剤、消臭・芳香剤、喫煙などがあげられます(表2)
発生源の種類 | 主な材料 |
建材 | パーティクルボード(接着剤)、化粧板(接着剤・原料)、壁紙(原料・可塑剤)、断熱材;発 泡尿素樹脂(発泡剤)、尿素樹脂バインダーガラス繊維(接着剤)、シール剤(有機溶剤)、 プラスチック配管(原料・可塑剤)、塗料(有機溶剤・原料)、澱粉糊(防カビ剤)、合成接着 剤(有機溶剤・原料) |
家具・調度品 | カーペット(接着剤・原料)、タンス(接着剤・防虫剤・原料)、カーテン(難燃剤) |
暖房・厨房機器 | 開放型石油ストーブ、ガスレンジ(燃料・燃焼生成物)、システムキッチン(原料・接着剤) |
空調機器 | 空調システムのダクト内壁 |
日用品 | 化粧品、事務用品、接着剤、芳香・消臭剤、滅菌剤 |
電化製品・事務機器 | 掃除機(防菌剤、防虫剤)、コピー機、マーカー(有機溶剤) |
自動車関連 | 燃料、排ガス、内装材 |
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