シックハウス対策で快適住空間へ快適・健康・安心珪藻ストーンって何?・・・

シックスクールと子どもの健康

近年、室内空気中の化学物質汚染によって、住宅やビルの新築・改築直後に、のどや眼などの刺激、めまい、頭痛などの体調不良を訴える居住者が数多く報告されています。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また多様な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれています。そして、この症候群は学校環境においても発生しており、名称を改め「シックスクール症候群」と呼ばれています。
日本の文部科学省は、平成12年 9月〜10月(夏期)、平成12年12月〜平成13年2月(冬期)において、全国各地の新築・改築(1年程度)、全面改修(1年程度)、築5年程度、築10年程度、築20年程度の学校から各10校、合計50校を選定し、平成12年6月に厚生労働省から室内濃度指針値が示された化学物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン)を対象に室内濃度の実態調査を行い、その結果を2001年12月21日に公表しました。その概要を以下に示します。


1.ホルムアルデヒド
夏期において厚生労働省の指針値を超えたのは、午前281ヶ所中12ヶ所(4.3%)、午後278ヶ所中12ヶ所(4.3%)であり、冬期では午後278ヶ所中1ヶ所(0.4%)。
指針値を超えた割合を教室別でみた場合、夏期ではコンピュータ教室20%、音楽室4.3%、図工室2.3%、冬期では音楽室1.1%。
2.トルエン
夏期において厚生労働省の指針値を超えたのは、午前269ヶ所中3ヶ所(1.1%)、午後271ヶ所中1ヶ所(0.4%)、冬期では午前264ヶ所中4ヶ所(1.5%)、午後260ヶ所中4ヶ所(1.5%)。
指針値を超えた割合を教室別にみた場合、夏期では図工室3.4%、コンピュータ教室1.1%、冬期では普通教室、音楽室2.2%、体育館2.4%、図工室2.5%。
3.キシレン、パラジクロロベンゼン
夏期、冬期ともに厚生労働省の指針値を超えた部屋はなかった。

文部科学省は、これらの結果を踏まえ、2002年2月5日に「学校環境衛生の基準」(平成4年6月23日文部省体育局長裁定)の一部改訂を発表しました。その改訂事項には、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンに対する厚生労働省の室内濃度指針値、教室等の定期検査、備品購入時等の臨時検査、それぞれの検査における判定基準と事後措置が含まれました。そして、この基準は即日各都道府県教育委員会及び各都道府県知事に対して周知徹底するよう通知され(13文科ス第411号)、2002年4月1日から適用が開始されました。以下に改訂の概要を示します。


1.定期検査項目

  1. 毎学年1回定期に実施(著しく低濃度なら次回からは省略可)
  2. ホルムアルデヒド(夏期が望ましい)とトルエンについて実施、キシレン・パラジクロロベンゼンについては必要な場合に実施
  3. 判定基準は、厚生労働省の指針値と同値[1]
  4. 事後措置は、換気の励行、発生原因の究明、発生抑制措置

2.適時検査項目

学校用備品搬入時、新築・改築・改修時には濃度が基準値以下であることを確認させた上で引渡しを受ける。

従来、学校環境衛生の基準において、教室等の空気に対しては、二酸化炭素、一酸化炭素、浮遊粉じん、落下細菌、温湿度、換気回数、気流、熱輻射に対する基準が定められていました。しかしながら、今回の改訂によって、日本で初めて学校環境に対するホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの4種の室温で揮発性を有する化学物質に対する基準が定められました。
このような学校環境における室内空気汚染は、アメリカでも以前から問題となっており、2000年12月にアメリカ環境保護庁は、学校の室内空気質(IAQ)に取り組むためのツール「IAQ Tools for Schools Kit」を公開しました。このツールは室内濃度のガイドラインや指針値を定めたものではなく、換気、建物の維持管理、廃棄物管理、改築・改修等に対し、健康的な室内空気質をコーディネートするためのガイドラインやチェックリストをまとめたものでした。
室内濃度のガイドラインや指針値に関しては、カリフォルニア州など一部の地方自治体において独自に定められていますが、アメリカ全土を対象としたガイドラインや指針値がないことから、ヒラリー・クリントン上院議員の支援のもと、学校の室内空気質の基準を設定する連邦規制を制定するようアメリカ環境保護庁に働きかけています。


日本では2002年2月に文部科学省が、「健康的な学習環境を確保するために−有害な化学物質の室内濃度低減に向けて−」のパンフレットを公表し、学校施設で留意すべき主なポイントを要約しました。発生源となる可能性のある材料、厚生労働省の室内濃度指針値、建物整備時における発生源の持ち込みや換気に対する留意事項、日常生活時における換気励行に関してわかりやすく概説されており、この問題に関する啓蒙パンフレットとして活用できます。さらに文部科学省は、2003年度の概算要求の中で、子供たちの安全及び健康に関する現代的課題への対応として、−学校すこやかプラン−「シックハウス対策参考資料の作成」の項目に対して714百万円を要求しています。


シックスクール症候群などの学校環境衛生に対する日本の取り組みは、ここ数年で急速に活発化し、学校環境衛生の基準、有害化学物質の室内濃度削減に向けた啓蒙パンフレット、次年度に予定されているシックハウス対策参考資料の作成など、より具体的な取り組みが行われるようになってきました。
しかしながら、学校環境衛生の基準にある4種類の化学物質の室内濃度指針値は、あくまで指針値であり、それ以下の濃度であれば安全と言えるものではありません。これらの指針値を下回る極めて微量の化学物質に対して過敏症状をきたす化学物質過敏症を訴え、学校に通えない子どもたちが存在することも重要な課題であり、また、何らかのアレルギー疾患やアトピー疾患の症状を有する子どもたちが、そのような症状を訴えることが多いことも考えていかねばなりません。
このようなことからも、たとえ指針値以下の室内濃度であったとしても、のどや眼などの刺激、めまい、頭痛などの体調不良や化学物質に対する過敏症状を訴える子どもたちが存在することは、決して異常なことではなく、むしろその存在を冷静に受け止め、それぞれの子どもたちに応じた対策を行い、一人でも多くの子どもたちが安心して通える学校環境にしていく必要があります。

近年発生した主なシックハウス/シックスクール事例

○宮城県仙台市・宮城県立こども病院
  医師や看護師ら職員216人中37人がシックハウス症候群に似た症状を訴えていた
○東京都江東区・区立元加賀小学校
  シックハウスで児童一部廃校へ避難
○東京都墨田区・区立八広小学校
  4年生の教室で基準値の1.6倍トルエン検出
○シックハウス疑い1・7% 都心の小中生対象の調査
  東京都心部の小中学生、新潟のケースの約2倍に達するとの調査結果
○ミネラル水19品からアルデヒド類 水質基準に甘さ・横浜市衛生研究所
  国内販売のミネラルウオーターの一部からホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを検出
○子供の症状悪化で全国初の提訴・大阪地裁
  通っていた学校に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴「シックスクール」をめぐる全国初の訴訟
○化学物質の有害情報を入手した事業者に国への報告を義務付け
  環境、厚生労働、経済産業の各省は通常国会に化学物質審査規制法改正案を提出
○シックスクールで医療費を給付・調布市
  市立調和小の児童がシックハウス症候群で受診した児童を対象に医療費を給付
○マンションで5人がシックハウス症候群と診断される・大阪
  「ライオンズマンション」で、室内の空気から指針値の最高4倍以上のホルムアルデヒドを検出
○塩尻西小のシックスクールで職員を処分・長野県塩尻市
  市立塩尻西小の新築校舎でトルエン濃度が環境基準を超えていた問題で教育次長、教育課長、担当職員ら処分
○長野県塩尻市・小学校新築校舎(トルエン)
  児童の7割が一時体調不良を訴える
○東京都調布市・小学校新築校舎(トルエンなど)
  児童8人が転校・一時避難
○滋賀県水口町・小学校新築校舎(トルエンなど)
  化学物質過敏症の児童1人が登校不能に
○大阪府堺市・保育園新築校舎(トルエン)
  園児19人がシックハウス症候群の診断
○大阪府堺市・保育園仮設校舎(ホルムアルデヒド)
  園児と保育士計26人が不調訴え。保育士4人に労災認定
○高知県大月町・中学校新築校舎(ホルムアルデヒド)
  生徒100人以上が体調不良を訴える、1人転校
○香川県さぬき市・幼稚園増設教室(ホルムアルデヒド)
  規準値を超えて検出した教室を使用中止

<参考資料>

[1] 厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室:「室内空気汚染問題に関する検討会中間報告書−第1回〜第3回のまとめ」, 26 June, 2000
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1206/h0629-2_13.html

[2] 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課:学校における室内空気中化学物質に関する実態調査, 21 December, 2001
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/12/011232.htm

[3] 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課:「学校環境衛生の基準」の改訂について, 5 February, 2002
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020202.htm

[4] USEPA: IAQ Tools for Schools Kit,402-C-00-002, December 2000
http://www.epa.gov/iaq/schools/

[5] J. J. Smith: "School Children Inhale Toxics Daily, Senate Told", Environment News Service (ENS), 1 October 2002
http://ens-news.com/ens/oct2002/2002-10-01-10.asp

[6] 文部科学省:健康的な学習環境を確保するために−有害な化学物質の室内濃度低減に向けて−, February, 2002
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/020601.htm

 

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